谷村美能里のブログ

G8サミット便りC見える壁、見えない壁

トロントからこんにちは。

 

本日、G20が閉幕。ワールド・ビジョンは、首脳宣言の公式発表に先駆けて見解を発表し、サミット期間中最後となるプレスリリースを配信しました。詳しくはこちら

 

さて、今回はサミットの議題から少し離れた事を書きたいと思います。

 

サミットでは、NGOなどの市民社会組織に対して、メディアセンターへのアクセスが著しく制限され、特にG20開幕後は、安全確保という理由で、さらにハードルが高くなりました。報道関係者の方が積極的にコンタクトしようと思わない限り、NGOの声を届けることが事実上難しい状況でした。私は今回、とある専門誌のアサインメントをいただき、そのお仕事のためにメディアとしてセンターに入りましたが、私以外のワールド・ビジョンの同僚は、TVのインタビューなどメディアセンターでないと物理的に不可能な取材が入らない限り、アクセスすることができませんでした。

 

国際メディア、そして、世界中から各国メディアの集まるサミット。

政府にとっては、存在感を示し、成果を強調し、好意的な報道を欲する動機が強く働き、実際、外交上重要な機会であることは間違いありません。しかし、それでもあえて、市民社会に、当時者の視点、背景の説明、違う角度からの解釈、そして批判をゆるすことで、より高い成果を目指していこうという良い力学がここ数年のサミットでは働いており、NGOは堂々とメディアセンターに入り(もちろん審査を経て)、メディアに接触することができていました。

海外のメディアは情報源としてNGOを信用、活用しています。実際センターの中で、海外メディアの方に「記者会見するのだよね?」と聞かれ、出来ないと答えると、驚きと落胆の表情が見て取れました。期間中にはNGOのコアリションから声明も発表され、メディアもこの点を報じていました。

 

安全管理は至上命題と理解できます。しかし、ここ数年のサミットにおいて、メディアセンターの中で大きな混乱が起こった事実はありません。とても残念であり、そして、私にとっては、メディアワーク&情報収集、WVとしての分析・見解の作成の度に、2つのセンターを行き来することになり、かなり大変でした・・・。ちなみに、1日に何度も通過するので、セキュリティチェックの警察の方とは、すっかり顔なじみになりました。皆さんとってもフレンドリーなので、短い会話がそれはそれで楽しみではあったのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5歳を迎えられる130万人の子どもたちにおめでとう。でも、750万人の子どもたちにその希望がありません。

右から:独、アフリカ、米国、日本、英国のWV担当者

しかし、私たちは、途上国の子どもたちの現状、主要国のリーダーは何をすべきかを、報道を通して広く知っていただくためにここに来ました。NGO用のセンターに閉じこもっているわけにはいきません。

情報源としてワールド・ビジョンを高く評価・信頼を得ている報道関係者は、多少面倒でも取材をしてくれますが、では、そこまで関心のない報道関係者にどうしたら私たちのメッセージを届けられるでしょうか?

 

クリエイティブな同僚が思いついたのは、「パーティ」でした。

 

G8最終日、カナダのハーパー首相が、「G8ムスコカ母子保健イニシアティブ」を発表する記者会見の直前に、次のように書かれた誕生日パーティへの招待状をメディアの方に配布、

「5才のお誕生日を迎えられるのは誰?数百万の子どもたちのお誕生日をお祝いできますように・・・。時間:ハーパー首相による会見直後、場所:メディアセンター入口」

そして・・・

アフリカ、米国、イギリス、ドイツ、米国、そして日本から私がメディアセンターの前に並び、Happy Birthdayを合唱(カナダ総裁は別のテレビのインタビューに。フランス、韓国の同僚はフェンスの外から参加)。「ムスコカ母子保健イニシアティブ」により5才のお誕生日を迎えられるようになると推計された130万人の子どもたちの5歳をお祝いしました。

一方で、約束された資金の総額が、救えるはずの子どもたちを守るのに必要な水準には遠く及ばなかったことから、ケーキは半分だけ(本当はもっと小さなピースになってしまうのですが)。集まってくれたメディアは多くはなかったものの、アフリカでの子どもとお母さんの現状、イ

ニシアティブに求められること、誓約された資金規模の評価、MDGs達成期限まであと5年というタイミングにおけるこのイニシアティブの意味などを、お伝えすることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 メディアセンター入口をふさぐフェンス越しに、報道関係者と話すWVフランスの同僚(左)

 

今年の韓国G20サミット、来年のフランスG8/G20サミットに向けて、NGOのメディアセンターへのアクセスに関して、重要な課題として市民社会が連帯して取組むことになるでしょう。そのような最中で、トロントで一部の活動家が暴徒化し、逮捕者が出てしまい、そのような暴力が、報道の内容ものっとってしまったことは、とても悲しいことでした。

 

昨夜夕食を摂ったレストランで、隣に座っておられたチャーミングな初老のご夫妻が、動員された大勢の警察官のTV映像を眺めながらこぼした「わたしらの税金が使われているのだよなあ」というつぶやき。

今晩強い雨の中乗ったタクシーで運転手さんが言った「雨が平和をもたらしてくれたんだよ!」という言葉。

 

壁を作っているのは誰なのでしょうか。

私たちは世界の首脳に対して、責任を果たすよう要求しますが、市民社会の一員として発言し活動する時に、私たちもまた大きな責任を担っている事を認識する必要があると思います。貧困の中にいる子どもたちに、署名に賛同してくださった皆さまに、そして、領域は異なっても、正義を求めて活動している市民社会の仲間に対して。

 

今日G20の首脳は、経済成長と財政再建の両立という難しい課題に取組む決意を固めました。

私も、アドボカシー担当として、おもねることなく大胆に、しかし同時に、謙虚に、そして、誠実でありたいと想いを新たにする、そんな夜です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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